無職の方の自己破産
1 無職の方でも自己破産は可能です
無職の状態の方であっても、無職であること自体を理由に自己破産ができなくなるということはありません。
無職であることは、法律上は免責不許可事由とされていないためです。
実務上も、ご病気やお怪我、高齢であるなどのご事情により無職となっている方が自己破産をすることはあります。
ただし、無職であることと、無収入であることは別であるとお考えください。
破産制度の目的のひとつは、支払い不能になってしまった債務の支払い義務を免除することで、債務者の方の経済的更正を図ることです。
もし免責を認められても、収入がない状態が続けば、いずれまた多額の債務を抱えて破産せざるを得なくなります。
そのため、何らかの形で収入を確保し、毎月の生活費がマイナスにならないことも示していく必要があります。
以下、無職の方が自己破産を申立てる流れについて詳しく説明します。
2 無職の方が自己破産を申立てる流れ
自己破産の申立てをする際には、自己破産申立書のほか、過去数か月分の家計表、お持ちのすべての銀行口座の過去数年分の預金通帳の写し、収入を裏付ける資料(生活保護受給証明や年金証書、(非)課税証明書、源泉徴収票など)、保有している財産を裏付ける資料などが必要となります。
過去数か月分の家計表を作成するにあたり、無職の状態であれば収入を確保する必要があります。
例えば、事故や病気によって就労ができない場合には、傷病手当金や障害年金、生活保護などの申請をします。
そのうえで、家計を見直し、何とか黒字を確保します。
自己破産に必要な書類が揃いましたら、裁判所に自己破産の申立てをします。
無職の状態で、預貯金と現金が一定金額以下で、他に高額な資産をお持ちでない場合には同時廃止事件になる可能性が高いといえます。
ただし、ギャンブルや浪費で借金を作ってしまったなど、免責不許可事由が存在する場合には管財事件になる可能性があります。
管財事件になった場合には、最低でも20万円程度の予納金が必要になりますので、注意が必要です。
法テラスをご利用で、生活保護を受給しているなど一定の要件を満たす場合には法テラスから管財費用の援助を受けられることがあります。