交通事故での同乗者の慰謝料
1 交通事故における同乗者についての慰謝料等損害賠償について
交通事故の被害者は、事故に遭った車の運転手に限らず同乗者についても相手方に対して損害賠償の請求を行うことができます。
運転手と同乗者の慰謝料等の損害は、同じ取り分を奪い合う関係にあるわけではなく、運転手は運転手に生じた損害について、同乗者は同乗者に生じた損害について、それぞれ全額を相手方に対して損害賠償請求することができます。
ただし、被害者側の運転手にも過失がある場合には、同乗者と運転手の関係性によって補償が変わりうる部分があるので、その点について説明させていただきます。
2 同乗者が同居の家族等である場合
同乗者が運転手の同居の家族等である場合は、運転手の過失は、同乗者の過失と同視され、「被害者側の過失」として同乗者の損害賠償請求においても過失分が賠償から相殺されることになります。
例えば、運転手の損害が100万円で、運転手:相手方=20:80の事故であれば、運転手は相手方に対して80万円の賠償請求をすることができます。
同じ事故で、同乗者(同居の家族)の損害が100万円だった場合、運転者と同じく同乗者が相手方に対して損害賠償請求できるのは、100万円の80%の80万円ということになります。
3 同乗者が同居の家族等ではない場合
一方で、同乗者が運転手の同居の家族等ではなく、たとえば友人関係やタクシー運転手とそのお客のような関係であった場合には、運転手に過失があったとしても、「被害者側の過失」の理論は適用されず、損害賠償額全額について相手方に対して請求することができます。
上記と同じ事例で、運転手:相手方=20:80の事故であったとしても、同乗者の損害が100万円であれば、100万円全額について相手方に対して損害賠償請求を行うことができます。
この件で、相手方の負うべき責任は80%分の80万円ではありますが、専門用語で、運転手と相手方の「不真正連帯債務」として、100万円の損害全額について相手方に対して支払いを求めていくことが可能です。
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