交通事故・後遺障害
交通事故にあってから解決するまでの流れ
1 解決するまでの大まかな流れ

交通事故にあってしまってから賠償金額を払ってもらって解決するまでのおおまかな流れとしては、①まずは治療に専念する、②後遺障害が残ってしまったと考えられる場合、後遺障害の申請手続きをする、③相手方保険会社と示談交渉をする、という流れになります。
ここでは、各ステップについて説明します。
2 治療期間について
交通事故においては、事故にあってすぐに損害賠償請求の話が始まるわけではありません。
基本的には、まず交通事故による治療を受け、通院等が終了してから相手方保険会社と損害賠償請求のために示談交渉を進めるのが通常です。
といいますのも、損害賠償請求においては、精神的な苦痛を被ったことに対する補償として慰謝料というものが支払われますが、その慰謝料等を計算する上で最も重要になるのが、どのくらいの期間、どれくらいの回数、病院等の医療機関に通院したかになるので、治療の途中ではこれらを確定することができないからです。
もっとも、交通事故によって、仕事ができなくなってしまい、お給料が入らないと生活が成り立たなくなるような場合には、休業損害だけ先払いするように相手方保険会社と交渉することは可能です。
3 後遺障害について
通院を継続したものの、残念ながら症状が残存してしまった場合には、後遺障害認定の申請手続を行うことができます。
後遺障害の判断を受けるためには、基本的には少なくとも半年間の通院をしている必要があり、かつ、むちうち症状であれば常時痛(いつも痛い状態が続いていること)が要件となっています。
主治医に症状固定の判断をしてもらったら後遺障害の診断を作成してもらい、後遺障害の申請を行うという流れになります。
4 示談交渉について
交通事故として治療が終了すると、相手方保険会社と賠償の話を進めていくことになります。
相手方保険会社に対しては裁判を提起して正式な損害賠償請求を行うこともできますが、相手方保険会社と話し合いで解決できることも多いので、まずは示談交渉を行うのが通常です。
もっとも、弁護士を依頼していない件では、相手方保険会社が最低限の補償基準での解決を提案してくることが多いので、示談をする前に内容が妥当かどうか弁護士に相談することをおすすめいたします。
交通事故で裁判になるケース
1 交通事故における裁判のメリット・デメリット

交通事故の被害者となってしまった場合、相手方に対して損害の賠償を請求することができます。
損害の賠償を請求する手段としては、話し合いによる解決を前提とした示談交渉を行う方法と裁判所による判断に基づく解決を目指した訴訟(裁判)を行う方法とがあります。
交通事故において裁判で解決する方法のメリットとしては、こちらの主張と相手方の主張が折り合わず話し合いで解決ができない場合に、裁判所に認めてもらうことができればこちらの主張通りの賠償を得ることができる可能性があることにあります。
相手方に保険会社がついている場合、通常保険会社としても裁判以前では出せる金額に限界があることもあり、訴訟を提起することで賠償金額を大きく増やせる可能性があります。
他方で、デメリットとしては、裁判所の判断がこちらに有利な判断になるとは限らず、訴訟を提起した結果、もともと提案されていた補償金額を大きく下回る判決が出てしまう可能性があることです。
示談交渉の段階では争われなかった治療の必要性・相当性や治療費の妥当性なども争われる可能性があるので、予想外の主張をされて大きく不利な結果になってしまうことも少なくありません。
また、示談交渉の場合には通常半年未満で解決することが多いですが、裁判になった場合には、どれほど短くても半年以上、通常だと1年~2年ほど解決までにかかる件も少なくありません。
以上のメリット・デメリットを踏まえて、裁判にするか否かを考える必要があります。
2 被害者が希望しなくても裁判になる場合
被害者の側が裁判を提起しなくても、以下のような場合には相手方から債務不存在確認訴訟という裁判を提起される可能性があります。
⑴ 示談交渉が進まない、連絡が取れない場合
加害者側で解決のための提案をしても、被害者が受け入れない場合や被害者がそもそも返答をしないような場合には、加害者側から訴訟による解決の手段が取られることがあります。
⑵ 過剰な治療や不正請求が疑われる場合
当該交通事故の事情を踏まえても、治療内容が過剰であったり、そもそも請求通りの治療を受けていたのかが疑わしかったりする場合には、保険会社として適正な支払いの観点から訴訟を提起されることがあります。
必ずしも以上のケースに限られるわけではありませんが、交通事故で裁判になった場合には、被害者として望まない場合であってもそれに適切に対応する必要があります。
交通事故に遭った直後から弁護士に相談するメリット
1 交通事故の直後に弁護士に相談するメリットは?

交通事故に遭った場合、被害者として弁護士に相談するとしたらどのタイミングがベストでしょうか。
それは、間違いなく交通事故の直後です。
なぜなら、交通事故の直後に弁護士に相談をいただいた場合には、弁護士から①警察対応・証拠の確保についてのアドバイス、②治療・通院についてのアドバイス、③保険会社対応についてのアドバイスを早期にすることができるからです。
以下では、おおまかにどのようなアドバイスができるのかについて説明します。
2 警察対応・証拠の確保についてのアドバイス
交通事故直後に弁護士にご相談をいただいた場合には、警察での事故取扱いについて人身事故にすべきか物件事故にすべきか、実況見分ではどのようなことに気をつけなければならないのか、証拠の確保の観点から何をしておくべきかなどをアドバイスすることができます。
これらの事項は、事故の初期段階からしばらく時期が経ってしまうと後から取り返しがつかない事項を含みます。
事故直後の対応に失敗してしまったがゆえに、適切な過失割合による交渉が困難になってしまったり、適切な補償を得るための証拠が失われてしまったりすることを避けるため、早期に弁護士に相談する意味があるといえます。
3 治療・通院についてのアドバイス
交通事故直後に弁護士にご相談をいただいた場合には、しっかり治療を継続するために、医師にどのように症状を伝えればいいのか、どのくらいの頻度で通院をすることが適切か、接骨院での治療を認めてもらうためにどのようにすればいいのかなどをアドバイスさせていただくことができます。
これらのことを知っておかないと、不当に短いタイミングで相手方保険から治療の打ち切りを宣告されたり、症状が残存するのに後遺障害認定を獲得する余地がなくなってしまったりするリスクがあるので、早期に弁護士に相談するべきと言えるでしょう。
4 保険会社対応についてのアドバイス
交通事故直後に弁護士にご相談をいただいた場合には、相手方保険会社に対してどのように対応をすればよいのか、保険会社から適切な補償をしてもらうためにどのような点に気をつければよいのか、ご自身の加入の保険を使うことで有利になる点があるか等をお伝えすることができます。
交通事故の賠償においては、保険会社の対応が非常に重要となりますので、保険会社との間でトラブルを避けるためにも早期に弁護士に相談するメリットがあるといえます。






























